今の時代、女性へのマーケティングは超重要です。
女性は消費の大きな部分を占めていますし、あらゆるブームを作っているのは女性です。あなたが男性だったら、彼女や奥さんの気持ちを理解できていますか?出来ていないならやばいですよ?
私はマーケティングやSEOの仕事をしていますが、商品をアピールするときには、必ず女性の視点を取り入れるようにしています。
たいていの商品は女性が購入者になりえますし、女性の視点というのは、商品を売るのに大切だからです。女性が何を求めていて、どんな行動をするのかを考えることで、男の自分では思いもつかない消費者のニーズを発見できるのです。
女性の思考を考えようとしますが、それでもなかなか女性が何を欲しているかは理解できません。だからといって、女性の理解を諦めることは、商品の死を意味します。
ここでは私が本から学んだり、仕事をするなかで気づいた女性のインサイトや、商品開発や販売における女性の重要性、どうやってマーケテイングすべきかを解説します。
女性へのマーケティングは重要
アメリカでは消費財全体の購入やその決定に、女性の80%以上が影響をおよぼしているそうです。
女性の購買の割合や、購買への女性の影響としては、以下のようなデータがあります。
- 衣料品では65%を女性が購入
- 自動車の全新車の52%を女性が購入(80%の購入に影響)
- 家電の45%を購入(61%の購入に影響)
- 家族の健康管理では80%を女性が決定
- 旅行では70%を女性が決定
- 住宅購入では91%に女性が購入
このデータは女性の社会進出が進むアメリカのものですが、近年女性の社会進出が進んできた日本でも同じような傾向があると思います。日用品を買うのは女性が多いし、旅行や飲食でもブームを作っているのは女性ですよね。
大体、男性は物を買うのにそんなにこだわりがないですし、大体妻や彼女の薦めるものを買ったりします。購入の意思決定の大半は女性なのです。
企業もこれに気づいて、女性に訴求する製品を作るようになってきています。例えば、競馬やパチンコ、居酒屋、釣り船などのように以前は男性向けと思われていた商品さえも、女性をターゲットしだしています。
このように、現在では女性は購買の大きな部分に影響があり、マーケティングではとても大事なのです。
女性が活かされていない現状
女性へのマーケティングでは、ターゲットのことをよくわかっている女性が商品や広告の考えに参加するのが良いでしょう。
しかし、企業では女性が活かされていないのが現状ではないでしょうか。
女性の心理がわからない企業
女性の社会進出が進んだとはいえ、多くの企業でマーケティングのプランを考えたり、商品開発をしているのは男性が多いです。
フォーチュン500企業の役員の85%、マーケティング最高責任者や販売管理担当重役の大半、主要な広告会社のクリエイティブディレクターの90%以上が男性で占められているそうです。
女性に商品を売るためには同性の視点が必要なはずですが、企業ではまだまだ女性が登用されていないのが現状です。
女性の心理が反映されていない商品
こういう会社だと、まったく的外れな商品が生み出されてしまいます。
例えば、機能性を追求したけどデザインが悪いベビーカーは売れないでしょう。女性が利用する商品なのに、デザインが悪いと、いくら便利でも売れないのです。
男性だらけのメンバーだと、この原因に気づかずに試行錯誤を行うとドツボにハマります。商品を売るには、女性の見方や心理を理解した人間が必要なのです。
マーケティングに活かせる男女の違い
女性と男性では、すべてが異なります。その違いを理解しておかなくては、最適なマーケティングプランを作ることはできません。
男性と女性の違いを、脳の作りの違いや心理的な側面から洗い出し、マーケティングにどう活かすべきかを考えます。
男女では脳が異なる
まず、研究によって、男性と女性では脳の作りが異なるということがわかっています。
女性は、情動をつかさどる辺縁系や記憶と情動形成を行う海馬が男性よりも大きく、言語処理を行う左脳に神経細胞が多く、左脳と右脳のつながりが強いです。
つまり、女性の方が感情を伝えるのがうまく、共感力が高いのです。そして、記憶力がよく、言語を使う能力が高いということがわかります。
マーケティングにおいては、この男女の脳の違いを考慮に入れて、男女ごとの戦略を考えなくてはなりません。
価値観の違い
女性と男性は、価値を置くものが異なります。
男性は自分の力で手に入れたステイタスを重視します。人と競争して、勝利するということが自分の価値を評価する基準です。
これは、脳が作り出すテストステロンによるものであり、狩猟をしなくてはならなかった男性に備わっている本能です。
一方、女性は競争を好まない傾向にあります。人との関係を築くことが、人生で最も価値あることだと考えます。
家族をはじめ、自分が築き上げた横のつながりとの関係の質を重視するのです。太古の昔からコミュニティの中で助け合って生きるために、こういった資質を身につけています。
だからこそ、競争心を煽るメッセージをマーケティングに取り入れるのはやめたほうがいいです。男性には受けるかもしれませんが、女性からの共感は得られません。
手助けの違い
男女では、助けを求める姿勢にも違いがあります。
女性は人に手助けを求めることに抵抗がないですが、男性は人を頼るということは、弱さの表れのように感じて避ける傾向があります。
女性はマニュアルを読むのを嫌がり、サポートの人間にすぐに聞きたがります。研究によると、男性よりも店員との直接のやり取りに反応するということがわかっています。一方、男性はマニュアルを読んで、自分で製品を把握するのを好みます。
だからこそ、女性へのマーケティングでは、サポートを充実させ、すぐにでもチャットや電話で相談できる体制を整えておく必要があります。
自己開示の違い
女性が築く人間関係の根本にあるのは、気持ちや不安、悩み、弱さを分かち合い共感する自己開示です。一方、男性は自己開示をあまりしない傾向にあります。
男性から見たらどうでもいい会話を、女性が延々と話しているのをみたことがあると思います。これはお互いがどう感じているかを共有することで結びつきを作っているのです。
女性のコミュニケーションの基本にあるのが、「褒める」ことです。褒めることで心地よくなりますし、褒めることは感謝の証でもあるからです。
販売員は積極的に共感することで、販売しやすくなります。また、褒めたり感謝を伝えることで、口コミを広げてくれますし、リピーターになってもらえます。
魅力のポイントの違い
女性は男性よりも話すことが好きですが、脳のなかの記憶と学習の機能がある海馬が大きいので、会話のなかの細かな描写や細部を楽しみます。
一方男性は、重要なポイントの要約や機能、データ、スペックの違いなどを気にかけます。
自分の立場に置きかえて会話するので、あるものが自分のために何をしてくれるかという実用的な面、利用状況などに興味を持ちます。
マーケティングでは、スペックや機能などを押し出すよりも、機能性や実際に利用方法など、その製品を使うことでどれだけ便利になるか、というポイントを打ち出すのがよいです。
気づきの違い
女性は細かなところに気づきます。人・モノ・場所など、細かなところを見ています。これは、言葉を話さない赤ちゃんの発するメッセージを理解するためにも発達したともいわれています。
例えば、トイレが汚かったりするととても嫌がります。販売員の身だしなみや言葉遣い、部屋の臭い、デスクの散らかり具合など、女性はすべてを敏感に気づきます。一方、男性はほとんど気づくことがありません。
だからこそ、細かなところまで気配りができている会社や人を高く評価します。トイレの清掃や販売員の身だしなみや口調など、小さいことに気をくばる会社や店を高く評価するのです。
マーケティングにおいては、女性が気にかけるであろう細かなポイントに気を配りましょう。
また、フィードバックを求めることも大事です。女性は何年でも覚えているので、アンケートなどで早めにフィードバックの機会を作り、感謝を示しましょう。ガス抜きになりますし、企業のこういった姿勢を評価します。
社会変化から考えられるマーケティング戦略
女性へのマーケティングは、将来的にもより重要になってきます。
現在起こっている社会変化から、今後必要になる女性へのマーケティングを考えてみます。
女性労働力の増加
世界的にも、労働力における女性の割合が増えています。
日本では平成29年には、労働力に占める女性の割合は43.7%まで上がりました。そして、18歳未満の子供を持つワーキングマザーの割合は、2017年には70.8%となりました。
このようにワーキングマザーが増えるということは、女性の使う金額が大きくなるということです。働く女性にマーケティングできれば、それは大きな利益を生み出します。
労働力の増加から考えられるマーケティング
働く女性は、子育て・仕事・買い物・料理・家事など、とにかくやることが多いです。
だからこそ、時間短縮になるサービスや時間の融通がきくサービスが必要でしょう。早い時間のオープン、営業時間の延長などがあれば仕事前や後に行けます。
また、子供がいるとショッピングでは何かと大変です。駐車場にはベビーカーを出せるような横幅があるか、店舗には子供を預けておくところがあるかなどをチェックしましょう。
さらに配達サービスがあれば、子供を連れてでもゆっくりとショッピングができます。
結婚年齢の上昇
結婚年齢の上昇によって、若い女性の購買行動に変化が起こっています。
若い女性の教育水準が上がったことで、所得が大きくなりました。そして結婚年齢が上がったことで、ぜいたく品や住宅、保険などの高額商品を買うようになっているのです。
結婚年齢の上昇から考えられるマーケティング
若い女性は同性で旅行に行ったり、頻繁に遊んでいます。そんな女性グループ向けの商品にマーケティングのヒントがあるかもしれません。
接客においても、販売員は若い女性とみると対応が悪いことがありますが、これからはれっきとした顧客として扱わないといけません。
出生率の低下
出生率の低下によって、子供の数が減っています。だからといって、子供向けの市場が小さくなっているのかというとそうではありません。
日本の子供向けの市場は、年々大きくなっています。ひとりの子供にかけるお金が大きくなっているからです。
出生率の低下から考えられるマーケティング
親は子供にぜいたくをさせるようになっており、子供のためのパーティを行ったり、高い服を着せたり、高級店にも連れていくようになっています。
マーケティングにおいては、子供向けの商品や子供向けのパッケージを作ることで、収益が得られる可能性があります。
まとめ
マーケティングにおける女性の重要性、マーケティングに活かせる男女の違い、社会背景などを解説してきました。
今や、女性へのマーケティングは必須です。ですが、このポイントに気づいていない企業はたくさんあります。
今後も女性は購買における大きな影響力を持ちます。あなたがビジネスをやっているのなら、女性へのマーケティングをしっかりと考えた方がいいでしょう。
今回の記事は、下記の本を参考にしました。どちらも女性の心理や購買行動を理解するための、データや解説が盛りだくさんです。ぜひ一度は読んでおいた方がいいですよ。