SEOでは、「ロングテール戦略が大事」と言われることが多いと思います。
あなたもSEO関連のサイトで、「検索の少ないロングテールキーワードで各記事に集客すべき」「1ページあたり1キーワードで対策をすべき」と書かれているのを見たことがあるのではないでしょうか?
ただ、このロングテールSEOは、Googleの検索アルゴリズムの変化とともに、必ずしも有効ではなくなってきています。
ここでは、ロングテールSEOを解説するとともに、Googleのアルゴリズムの変化に合わせた、ロングテールSEOに変わるコンテンツSEOの方法を解説します。
ロングテールSEOで対策しているけど成果が出ない、SEOでの成果を最大化したい、という人は読んでみてください。
ロングテールSEO
ロングテールSEOでの失敗
私は、以前運営していたブログでロングテールのキーワードばかりでコンテンツを作っていました。
1年くらい続けたのですが、あまり成果も出ず…。挫折してしまいました。
その後、SEOの仕事に就いたのですが、そこで原因がわかりました。ロングテールばかりでコンテンツを作るのは明らかに間違いだったのです。
ロングテールSEOとは
まず、ロングテールSEOの意味について解説します。
「ロングテールSEO」とは、ボリュームが大きく競合性の高い1単語のキーワードでコンテンツを作るのではなく、複数の単語を利用した検索キーワードに対してコンテンツを作るという戦略です。
各キーワードの検索ボリュームは少ないけれども、競合性が低く、購買意欲が高く、成果を出しやすいのが特徴です。細かなキーワードでたくさんコンテンツを作ることから、ページ数は多くなる傾向があります。
元々は、少数の売れ筋商品ではなく、ニッチな商品を幅広く取り扱うというAmazonなどのネットショップのビジネスモデルとして、『WIRED』誌の編集長であるクリス・アンダーソンによって提唱された戦略です。
ロングテールSEOは時代遅れ?
今でもロングテール戦略は、SEOにおいて有効ではあります。ただ、Googleの検索アルゴリズムの変化とともに、このロングテールSEOは時代遅れになってきています。
現にSEOの本場であるアメリカのSEO業界では、ロングテールSEOという戦略は使われなくなっています。
では、ロングテールSEOの代わりに、どのような戦略が取られるようになってきているのでしょうか?
それを説明する前に、Googleのアルゴリズムがどのように変化しているかを説明しておきます。Googleのアルゴリズムを知らなければ、なぜその戦略が有効なのかがわからないからです。
Googleアルゴリズムの変化
Googleの検索順位を決定している検索アルゴリズムは、細かいものも含めると年間数百回は更新や変更が行われていると言われています。
最適な検索結果を表示するために、Googleは検索のアルゴリズムを試行錯誤しているのです。
このアルゴリズムの変化によって、検索エンジンから評価されるコンテンツというのも変わってきます。
ロングテールSEOより有効な戦略が出てきた背景には、このGoogleのアルゴリズムの変化があり、Googleの「ランクブレイン(RankBrain)」というAIの存在があります。
ランクブレインとは
ランクブレインとは、Googleが2015年前半頃に導入した検索アルゴリズムであり、機械学習を使った人工知能のことです。2015年にブルームバーグで紹介され公になりました。
このランクブレインは、検索キーワードとコンテンツの関連性を判断するアルゴリズムのことです。
検索をしているユーザーの意図を読み取り、最適なコンテンツを表示するための判断を行ってくれます。
ランクブレインの役割
ランクブレインは、以下のような2つの役割を果たしています。
- 検索キーワードやWEBページの高度な内容を理解する
- ユーザーの検索結果に対しての満足度を測定し修正する
ユーザーの検索が曖昧な言葉だったり、これまでにない単語だった場合に、人工知能がその意味を推測することで的確な検索結果を返します。
また、現在表示されている検索結果が最適なものかを判断し、検索結果を変更していくという作業を行います。
ブルームバーグの記事でも、ランクブレインが検索クエリを処理する仕組みは以下のように説明されています。
RankBrainは大量の(文章による)言語を、コンピューターが理解することができる、ベクター(vectors)と呼ばれる機械的なエンティティへと組み込むことに、人工知能を使用している。RankBrainが馴染みのない言葉やフレーズを見つけた場合、その言葉の意味に近いフレーズなどを推測し、それに従って検索結果をフィルタリングする。これにより、今まで見たことのない検索クエリ、への対処をより効果的に行うことができるのだ。
ランクブレインの例
よく利用される例としては、「ソニーが作ったグレーのゲーム」と検索したときに初代のプレイステーションが表示されるものです。
検索ワードにプレイステーションという単語が入っていないにも関わらず、プレイステーションであることをGoogleは理解しています。
この答えは、人間であればなんとなくわかりますが、Googleもどのような意図で検索をしているかを把握して検索結果を返しているのです。
Googleは、このような検索では「ソニー」「グレー」「ゲーム」というキーワードを含む検索結果を返していました。しかし、ランクブレインによってキーワードを含まないページも検索結果に表示できるようになったのです。
このように高度な判断を、ランクブレインは行っているのです。
ランクブレインはなぜ必要だった?
数年前にGoogle検索では、1日当たり数十億という検索が行われており、そのうちの15%がこれまでに一度も検索されたことがない検索キーワードでした。
こういった検索では、Googleは検索されたキーワードを含むページを検索結果に表示するだけでしたが、これではユーザーの求める回答を行うことができません。
そこで、ランクブレインによって、一度も使われたことがない単語での検索でも、単語の意味を推測し回答を表示してくれます。
例えば、「SEO やり方」と検索した時には、「SEO対策とは?上位表示に必要な対策方法について」など、「やり方」というキーワードを含まなくても上位に表示しています。
これは、「やり方」と「方法」というのが同じ意味だということを理解しているからこそ行えることです。そして、コンテンツが方法について優れた解説をしているかも判断して表示してくれるのです。
Googleが理解できなかった15%の検索に対して、答えを提示しているのがランクブレインなのです。今では、もっと大きな割合で活用されていると予想できます。
アルゴリズムでのランクブレインの重要性は?
では、数あるGoogleのアルゴリズムのなかで、ランクブレインはどれくらいの影響力を持つのでしょうか?
Googleのアルゴリズムは200以上あるとも言われていますが、それらのなかでは影響力が強いものと弱いものがあります。例えば、画像のaltにテキストを入れていなかったとしても、検索順位に与える影響は少ないです。
ランクブレインの与える影響が小さいのであれば、特に対応する必要もないでしょう。逆に、影響が大きいのであれば、対策を講じるべきですよね。ランクブレインの重要度はどれくらいなのでしょうか?
結論を述べると、ランクブレインの重要性は高いです。
Googleによるランクブレインへの言及
Googleはランクブレインの重要性を明かしています。
以下の記事で、数ある検索順位決定のアルゴリズムのなかで、ランクブレインは3番目に重要なシグナルであると明言しています。
コラード氏によると、RankBrainは、Google検索ページに表示される結果とランク付けの場所を決定するアルゴリズムに入る「数百」の信号の1つです。同氏はまた、導入されて数か月で、RankBrainは検索クエリの結果に貢献する3番目に重要なシグナルになったと語った。
200以上あるなかで3番目というのはかなり重要ですよね?ランクブレインは無視できないアルゴリズムです。
ちなみに、1位と2位に関しては、以下のGoogleのQ&Aのなかでアンドレ・リパッセ氏がリンクとコンテンツであると発言しています。つまり、検索順位において重要なシグナルTOP3は以下です。
- リンク
- コンテンツ
- ランクブレイン
では、ランクブレインによって、ロングテールSEOはどのように変わったのでしょうか?
ランクブレインとロングテールSEO
ランクブレインによる検索結果の変化
ランクブレインによって、検索結果が大きく変わってきています。
ただキーワードが含まれていたらいいというのではなく、コンテンツのなかで述べている内容がより重要になってきているのです。
もちろん、共起語やキーワードの割合での評価がなくなったわけではありませんが、検索意図にマッチしたページが表示されているのです。
ロングテールSEOはオワコン?
ロングテールSEOでは、検索ボリュームの少ないキーワードでアクセスを狙った記事を、大量に作って集客をしていましたが、それではアクセスを得られなくなってきています。
ランクブレインによって、キーワードではなく検索意図で検索結果が決まるようになったからです。そのキーワードが利用されていなくても、同じような検索意図のページが表示されているのです。
だからこそ、ロングテールキーワードで上位表示を狙ったとしても、検索意図が同じで別のキーワードで書いたページが上位表示するのです。
細かなキーワードで数百ページ作ったとしても、近い意味のページの場合、結果に表示されなくなりますし、成果が出ません。
ロングテールSEOに変わる戦略、ミドルキーワードSEO
ロングテールSEOが成果を出しづらくなった現状では、どのような戦略を取るのがよいのでしょうか?
それは、「ミドルキーワード」でコンテンツを作るということです。
ミドルキーワードとは?
ミドルキーワードとは、検索ボリュームがロングテールキーワードほど少なくなく、月間100回~数万回くらいあるようなキーワードです。
ロングテールキーワードほどニッチではなく、購買意欲もそこまで高くないですが、ビッグキーワードほどの広い意味と検索ボリュームを持たないキーワードです。
ミドルキーワードはある程度広い検索意図を持っており、それに回答するためには、幅広いコンテンツが必要となります。
ミドルキーワードSEOの方法とは?
広い検索意図に答えるためには、その検索ニーズに応えるため、コンテンツの中に様々な要素を含める必要があります。
例えば、「ブログ 集客」という検索のなかには、「ブログ 集客 方法」「ブログ 集客 失敗例」「ブログ 集客 成功例」「ブログ 集客 メリット」「ブログ 上位表示」などの検索意図があると考えられます。
これらの検索意図ごとにロングテールでコンテンツを作るよりも「ブログ 集客」のページを作って、これらの検索意図のコンテンツを入れることで、ロングテールでもページを表示できる可能性があります。
つまり、ミドルキーワードのコンテンツにロングテールのコンテンツを含めることで、ロングテールのコンテンツを作るよりも、高いアクセスが得られるのです。
競合に勝てない時はロングテールで
ただし、ミドルキーワードでコンテンツを作るというのは、有効ではない場合もあります。
例えば、サイトを作ったばかりの場合です。WEBサイトを作ったばかりでは、Googleからの評価が低いので競合よりも上位表示するのが難しいです。
また、SEO関連のキーワードのように、競合がSEOに強いコンテンツの場合などは上位表示は難しいでしょう。
このような場合には、ロングテールキーワードで集客をしていくしかありません。
そして、後にロングテールキーワードで作った複数のページを統合して、あらゆる検索に回答できる、より詳しいコンテンツを作るという方法もよいでしょう。
まとめ
現在のGoogleのアルゴリズムはランクブレインによって、大きく変化しました。
それによって、ロングテールSEOの効果というのも薄れてきています。
検索意図を理解して、そのキーワードにあった最適なコンテンツを作っていくことが必要になってきます。
あらゆる検索意図にこたえられるコンテンツを作ることで、ロングテールSEOよりも幅広い検索に対して対策をするのがよいと思います。