SEOの仕事をしている時に、お客様からよく聞かれるのが「検索順位が決まる仕組み」です。
GoogleやYahooなどの検索サービスでは、検索順位、検索のランキングはどうやって決まっているのでしょうか?
この検索順位決定の仕組みを知っておけば、検索順位を上げるために何をすればいいか、どんな方針で施策をすればいいかがわかります。
検索エンジンの仕組みを知らなくては、SEOでどんな施策をすればいいかがわかりません。それは地図を持たずに目的地を目指すようなものです。
ここでは、Googleが公表しているデータや資料を基にして、検索順位が決まる仕組みを解説しようと思います。
Googleを知ろう
検索ランキングの仕組みを知るには、まずGoogleを知っておきましょう。
Googleがなぜ検索サービスを提供しているか、その目的を知ることで、何をすべきかがわかってくるからです。
検索エンジンとはGoogleのこと
日本の主な検索サービスは、GoogleとYahoo、Bingです。
YahooはGoogleの検索エンジンを利用していますし、Bingはシェアがほとんどありませんので、その大半がGoogleがシェアの大半を占めているといえます。
2020年2月時点のデータでは、GoogleのシェアはPCで88%、モバイルで99%となっています。圧倒的ですね。
ですので、検索順位の仕組みを考えるときには、Googleの検索エンジンの仕組みを考えることになります。
Googleの目的とは?
検索順位の仕組みを知るには、Googleが検索サービスを提供する目的や、検索サービスで目指している目標を知っておきましょう。
Googleは、その目標に向かって検索システムを変更しているので、目的・目標を知ることによって対処法がわかるからです。
Googleが検索サービスにおいて達成したいことは、Googleの公式サイトの「Googleの使命」のページで明確にされています。
Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスして使えるようにすることです。
Google は自動化されたシステムを使用して、関連性と信頼性が最も高い情報をユーザーの皆様に提供しています。
Googleは、世界中の人があらゆる情報にアクセスできるようにし、ユーザーが最も求める情報を提供するのが使命なのです。
Googleの収益の仕組み
Googleは、検索順位の精度を高めることをとても重要視しています。
なぜならGoogleの収益というのは、Googleの提供する広告サービス「Google広告」から得られているからです。
Google広告の収益を増やすことでGoogleは利益を得られます。そのためにはGoogle検索の利用者を増やさなくてはなりません。
Google検索の提供する検索結果の質が悪く、自分の求める情報をくれないと利用者は減ってしまいます。
だからこそ、Googleは検索順位を重視して、改善を繰り返しているのです。
Google検索の順位は操作できない
Google検索のランキングというのは、信頼性がなくてはなりません。だからこそ、特定の検索順位を操作することはできません。
お金を払ったからといって順位が上がることはありませんし、Google広告を利用したからといって順位が上がることもありません。
これは公式サイトにも明記されています。
検索アルゴリズムによる掲載順位の決定において、広告主が特別な配慮を受けることもありません。お金を払って検索結果内での順位を上げることは誰にもできません。
今や膨大なデータベースをもとに、AIの活用によってより複雑な計算が行われて検索結果は表示されているので、操作なんて絶対にできないのです。
Googleの検索エンジンに評価されるようなコンテンツを作るしかないのです。
検索順位が決定されるまでの流れ
現在の検索結果の順位付けは、ロボットがすべて自動で行っています。
インターネット上をロボットが巡回して情報を収集し、その情報を整理したあとに、検索キーワードに最適な検索結果を表示しているのです。
ちなみに、以前は「ディレクトリ型」と呼ばれるような検索エンジンもありました。
これは人の手でWEBサイトの情報を集めて、カテゴリー別に分類して掲載する方式でしたが、集められる情報に限界があることと、最適な情報を得られないことで廃れました。
検索順位の決定には複雑な処理がされているのですが、大まかにいうと検索順位決定は以下の流れで行われています。
- クローラーが情報収集
- サーバーにインデックス(索引)を作成
- 検索結果を表示
クローラーが情報収集
Googleは検索サービスを提供するためには、インターネット上に存在するウェブページの情報を集めなくてはなりません。
インターネット上には数十億、数百億あると言われています。Googleはネットを巡回して、これらのWEBサイトの情報をすべて集めるのです。
ネット上では、リンクによってサイトが互いにリンクされているので、クローラーはウェブページ上のリンクをたどることでページの情報を収集します。
すでに情報を集めたWEBサイトのデータも随時チェックして、情報が変更されていないか、情報が追加されていないかをチェックしています。
このクロールの頻度は有料で増やすというようなことはありません。
サーバーにインデックス(索引)を作成
クローラーが情報を集めたら、取得した情報をもとに、検索時に情報を引き出しやすいような形に整理して、インデックス(索引)を作成していきます。
ユーザーが検索をした時には、この索引からもっともニーズに合致するページを検索結果に表示します。
検索してから検索結果を提示するまでには1秒もかかりませんが、高速で表示するのにこのインデックスが特に大きな働きをしています。
あらかじめ検索ワードと合致するページを見つけやすいような索引を作っているからこそ、高速表示が可能になっているのです。
検索結果を表示
索引として整理された情報ですが、検索キーワード(検索クエリ)に対して合致するページをただ表示するだけでは意味がありません。
ユーザーは、自分の悩みを手早く解決できるページを探しています。
そのページをユーザーに提供するために、検索結果で順位をつけて、ユーザーのニーズに最も近いものを上位に表示する必要があるのです。
ユーザーの悩みを解決できるページが100位にあったとしても誰も見ないですよね。
ユーザーの検索ニーズに最も合致する関連性の高いページを表示するために、WEBページの評価を行い順位付けするのが「検索アルゴリズム」です。
検索アルゴリズムはWEBページの内容、品質、他のページからの参照など、様々な指標によって評価を行いランク付けを行っています。
Googleは図書館司書に似ている
ここまで、Googleの検索順位が決定するまでの流れを解説してきました。
このようなGoogleが行っている事は、図書館の司書に似ているといえばイメージしやすいかもしれません。
図書館司書は、日々新しい書籍が出ていないかチェックをして、新しい書籍が出たらその書籍の情報を集めます。
書籍の情報を元に、図書館に入れるかを判断し、図書館に入れるとなったら分類、整理をします。本を評価する時には内容や、どのような書籍を参照しているかなども評価します。
図書館の利用者に対して、あらゆる本のなかから、読者のニーズにマッチするものを提案します。Google検索の順位付けの仕組みは、図書館司書と同じなのです。
検索順位を決定する「アルゴリズム」とは?
検索順位を決めているのは「検索アルゴリズム」です。「アルゴリズム」って言われてもなんだそれ?と思う人も多いですよね。
アルゴリズムとは、コンピューターの分野での計算方法、計算ロジックのことです。
検索順位を決めるときには、Googleで超超複雑な計算が行われていますが、このロジックを決めているのが「アルゴリズム」なのです。
だからこそ、順位決定の仕組みを知りたかったら、検索アルゴリズムを知らなくてはなりません。
アルゴリズムは明かされていない
検索アルゴリズムのロジックというのは、Googleが最適な検索結果を表示するキモの部分であり、Googleの根管にあたるものです。
だからこそ企業秘密となっており、アルゴリズムの情報は明かされていません。このロジックを他の企業が真似したら、同じ検索サービスを作れてしまいますからね。
しかし、Googleが公表している情報やGoogle社員が提供する情報によって、アルゴリズムの仕組みについては多くのことがわかっています。
検索アルゴリズムで重視されることは?
検索アルゴリズムで重視されることとは何でしょうか?
これはズバリ「ユーザーに有益かどうか」です。
ユーザーに役に立つ記事か、ユーザーのためになるのか、というのが唯一Googleが重視しているポイントです。
これは「Google が掲げる 10 の事実」として記されています。
- ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
- 1 つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
- 遅いより速いほうがいい。
- ウェブ上の民主主義は機能する。
- 情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。
- 悪事を働かなくてもお金は稼げる。
- 世の中にはまだまだ情報があふれている。
- 情報のニーズはすべての国境を越える。
- スーツがなくても真剣に仕事はできる。
- 「すばらしい」では足りない。
このなかで特に、「1」がユーザーに有益かどうかを表しています。
ユーザーのニーズだけを考えて記事を作れば、自然とGoogleにも評価されるので、Googleのアルゴリズムやテクニック的なことばかり考えていたらダメということです。
そして、2~5も検索順位に関わることです。専門性を持たせた方がいいし、WEBページは早く表示できた方がいい、ということを述べています。
多くの人から参照されたり紹介されているページが評価され、検索される色んなシチュエーション、つまりモバイルや音声検索などを想定しておくべきということも解説されています。
検索アルゴリズムで重要な要素は?
いかにユーザーの役に立つかどうかを考えるべき、ということはわかったと思います。しかし、ユーザーのためになるには何をすればいいかがわかりませんよね?
アルゴリズムにおいて重視されるポイントというのは、Googleが公表しています。
そのなかで、重要度の高い1番目と2番目はリンク、コンテンツであると以下のQ&Aで説明しているのです。
色々なポイントが検索ランキングに影響するのはわかったけど、最も大切なのはどの要素ですか?それが分かれば、私達も、より品質の高いサイトを作れるようになりますよね。
リパセフ:
ええ。それは、コンテンツと、あなたのサイトについたリンクです。重要さはどちらも同じ程度で、両方そろっているかが大切です。
そして、3番目の要素としてはランクブレインだと明かしてます。
- リンク
- コンテンツ
- ランクブレイン
検索順位が決定する仕組みのなかでは、これらの3つの要素の与える影響が大きいのです。
この3つができていないのに、いくらコンテンツを書いたとしても検索順位がよくなることはありません。では、それぞれを解説していきましょう。
検索順位を上げるのに重要な要素
リンク
リンクとは、他のWEBページでクリックしたら自分のページに遷移するリンクのことです。
リンクが張られるということは、他のWEBページから参照されたり引用されたりしているページなので、ユーザーのためになっているし信頼性が高いと考えられるのです。
これは、多くの論文で引用や参照されている論文は、信頼性が高いということから生まれた仕組みです。
他のWEBページからたくさんリンクが張られているかという量の面とともに、関連するWEBページからリンクが張られているかという質の面も判断されます。
検索順位を上げたいのであれば、多くの人からリンクを張ってもらえるようなコンテンツを作らなくてはなりません。
コンテンツ
リンクとともに重要なのがコンテンツ。コンテンツとは、ページの内容のことですね。
ページにどんな内容を書くかが重要なのです。では、どんな内容が検索ランキングにおいて重視されるのでしょうか?
SEOスターターガイドでは、以下のようなポイントが重要だと述べられています。
- 興味深く有益なサイトにする
- 読者が求めているものを把握して提供する
- 読みやすいテキストを記述する
- トピックを明快に整理する
- 新鮮な独自のコンテンツを作成する
- 専門性と権威性を明確にする
- テーマに応じた適切な量のコンテンツを提供する
内容がユーザーのためになることはもちろん、ユーザーが求めている情報を的確に把握しなくてはなりません。
例えば「SEO 勉強」という検索クエリに対して、SEOの方法を解説したページでは上位表示することはできません。勉強方法を解説したページでなくてはならないのです。
また、ユーザーが読みやすいように、読みやすい言葉で書かなくてはなりませんし、パラグラフ・小見出し・レイアウトの分離を行って構造を整理しなくてはなりません。
コンテンツを書く時には、「E-A-T」という要素を重視しなくてはなりません。
- Expertise(専門性があること)
- Authoritativeness (権威があること)
- TrustWorthiness (信頼できること)
コンテンツを書く時には、専門性・権威性・信頼性を証明できなければならないのです。
コンテンツの内容に関して専門家であるか、権威性を示せるものはあるか、コンテンツの根拠を示せるかというポイントを考慮しましょう。
適切な量のコンテンツが評価されます。書きすぎ、書かなすぎでは評価されません。
ランクブレイン
ランクブレインとは、以下の働きをするアルゴリズムのことです。
- 検索キーワードやWEBページの高度な内容を理解する
- ユーザーの検索結果に対しての満足度を測定し修正する
これまでにない検索キーワードでも、その意味を予測し最適なコンテンツを表示するという役割と、ユーザーが検索結果に対してどのような行動をとっているか、満足をしているかを判定する仕組みなのです。
このランクブレイン対策をすることで、より検索順位を上げやすくなります。
ランクブレインでは、ユーザーが検索結果でどのWEBサイトを見て、どのように行動しているかをチェックしています。
そして、あまり見られていないページ、見られてもユーザーの検索ニーズを満たせていないページの評価を下げます。
これには、直帰率やサイト滞在時間、セッションあたりのページビューが少ないようなコンテンツが当てはまります。コンテンツ内に内部リンクを設置し、多くのページを読んでもらうことで、ランクブレインの評価は高めることができるのです。
ちなみに、ランクブレインと内部リンクについては、以下の記事で詳しく解説しています。
検索順位を上げるその他の要素
検索の順位において重要度の高いポイントを解説してきましたが、Googleは200以上のアルゴリズムでサイトを評価しており、他にも重要なポイントがあります。
こういったポイントはなるべく多く対応した方が、検索順位が上がりやすくなります。
正しいHTMLタグで記述する
HTMLタグというのは、コンテンツ内の文章に意味を持たせ、ロボットが文章の役割を知るために利用されます。
例えば、見出しであればHタグを利用することで、Googleのロボットは「これが見出しなんだな」ということを把握するのです。
Hタグ・pタグ・ulタグ・tableタグ・metaタグなど、正しいHTMLで記述することで、ロボットはより正しい意味を受け取り、評価することができます。
HTMLタグの記述に問題がないかは、「Markup Validation Service」でチェックすることができます。
モバイル対応
Googleはモバイルでの表示をとても重視しています。Googleの利用者の大半がスマートフォンを利用しているからです。
そして、以前は検索順位付けをPCでの表示データを元にしていましたが、現在はモバイルの表示データを元に順位付けを行っています。
モバイルでユーザーが見やすいように表示されているか、モバイルサイトのHTMLは正しいか、モバイルサイトでパンくずリストはあるかなど、モバイルサイトを整えるようにしましょう。
モバイル対応ができているかどうかはGoogleの提供する「モバイル フレンドリー テスト」で確認してみましょう。
ページ表示速度
Googleはページ表示速度も重視しています。というのも、多くのユーザーはページスピードが遅いと、WEBぺージを見ずに離脱してしまいます。
「Googleが掲げる10の事実」でも「遅いより速いほうがいい」と述べられていますし、Googleは公式サイトで以下のように述べています。
- 完全に表示されるまでに3秒以上かかると、53%のユーザーはページを離れる
- 表示速度が1秒から7秒に落ちると、直帰率は113%上昇
表示速度が遅いと、それだけユーザーに不便を与えてしまうし、ページをすぐ離脱してしまいます。ユーザーに満足してもらうためにも、ページ表示速度は早くしましょう。
ページ表示速度は「PageSpeed Insights」で計測することができます。80点以上になるようにしましょう。
階層構造
WEBサイトの階層構造はわかりやすく、シンプルなものにしましょう。
Googleのロボットは階層が深くなればなるほど、把握するのが難しくなりますし、SEOでの評価も下がります。階層構造はユーザーもロボットも理解しやすいような構成にしましょう。
そして、階層構造がわかるパンくずリストは必ず表示しましょう。
セキュリティ
Googleはインターネット上のセキュリティを重要視しています。セキュリティが担保されていないと、検索サービスを使ってもらえる人が減るからです。
だからこそ、サイト運営者に対しては万全のセキュリティ対策を推奨しています。
暗号通信化を行うHTTPS化は必ず行うようにしましょう。今であれば無料でHTTPS化ができるサービスがありますし、そんなにコストもかかりません。
また、プライバシーポリシーを表示する、スパムサイトからリンクをもらわないようにするなど、Googleにセキュリティで疑われないようにしましょう。
まとめ
Googleが検索サービスを行う目的、Googleの検索順位が決まる流れ、検索順位の決定で重視されるポイント、上位表示するための方法などを解説してきました。
Googleで検索順位を上げるためには、多くの要素に対応しなくてはなりません。
しかし、Googleの検索での順位付けの仕組みがわかると、優先してすべきこと、どのような指針で修正をすべきかなどがわかってきます。
そして、なによりもユーザーのためになるコンテンツを作ることが、検索順位を上げることにつながると言えるのです。